会社勤めをしていて、連日朝から晩まで一生懸命働いて、ふと電卓を叩いてみたら、時間単価が最低賃金よりも安かったなどという話は、決して他人事ではありません。しかしその中身は、自分自身の仕事に集中するというよりはむしろ、組織内外における調整に手間取って思うように仕事を進めることが出来ないというのも事実です。つまり人が増えればその分仕事の効率が上がるように見えて、実は効率が下がる結果に終わる場合も多いのです。
会社勤めのメリットといえば、例えば営業にせよ経理にせよ、ある程度の裁量をもって一定の範囲の仕事に集中することが出来るという点を挙げられるはずです。同じ仕事を繰り返すのであれば、学習することによって作業効率は上がります。しかしその合間合間に電話や会議や決裁などを挟みながら行うために、事務職であっても自分のデスクで集中して仕事に取り組むのが難しくなります。その点フリーランスであれば、どんな時間帯にどこで仕事をしようが基本的に自由です。もちろん外部とのやり取りやクライアントとの連絡は大切なので、相手の時間に合わせる必要はあるでしょうが、仕事に集中したい時に仕事に集中出来る環境を自らの裁量で実現できるというのは大きな強みです。またフリーランスとして仕事の多くの部分を一人で完成させるために、人との調整や雑務に会社員ほど時間を割かれることがなくなります。もっともそれは場合によりけりで、会社勤めには必要のない営業や会計や雑務もフリーランスは自分でこなさなければならないのが原則です。しかしそれも一定の費用を支払うことで他人に任せるかどうかを決める自由が、幸いなことにフリーランスにはあるのです。
そしてフリーランスであれば、自分に必要な月収や年収から時間単価を計算して仕事を選んだり、スケジュールを組んだりということが可能です。つまり生産性が上がれば自分の自由な時間が増えたり、収入に直結するのであり、そのメリットが実感しやすいのです。一方の会社勤めでは、生産性が上がっても自分の収入が増えるわけではありません。一昔前であれば、残業代を稼ぐためにわざと仕事をダラダラと長時間続けていた例もあったように、効率を上げようというインセンティブが必ずしも働くとは限らないのです。もちろん社内風土もありますし、社長や上司のこだわりや方針に逆らうことは出来ませんから、無駄と感じながらしぶしぶ雑務をこなすのでは効率が上がらなくて、ある意味当然なのかもしれません。フリーランスであれば自分が部下で自分が社長であるため、自分で気が付いた改善点はどんどん変えて行けばよいのです。